周防監督の作品。私はこの人の描く自然な笑い*1がとても好きなのだけれど、今回の作品は笑いなど一切無い。注意力散漫で映画中にテレビ前を離れてパソコン触ったりしてしまう私ですが、コレばかりは目が離せず一つ一つの物語を慎重に見ていった。
何とも刑法、裁判、全てにおいて恐ろしい現実。悪を裁くのが警察の役割とはいえ、無実の人間にとってこれほど酷なものはあるだろうか。罪を認めなければ拘留は続き、たとえ裁判を起こしても無実になる補償はない。なのに罪を認めれば示談で金だけ払って保釈される。これは逆でなければいけないんじゃないのだろうか?金で済むから卑劣な犯罪が後を絶たないのだ。
ネットで痴漢仲間を集める集団の痴漢行為がある現代、周りの証言だけでシロといえない事実も当然あるけれど、こうやって無実の人間が人間以下の扱いを受け、陥れられるように犯人に仕立て上げられていくのは本当に苦しくなる。
とても良い映画ではあったけれど、後々悶々としてしまう映画でもあった。
寝る前に見ないほうがいいかもしれない。

*1:反して三谷監督は狙いすぎた笑いなので時によって疲れる