絶対、最強の恋のうた
- 作者: 中村航
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/10/26
- メディア: 単行本
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前半が彼視点、後半が彼女視点での物語は語られる。
私は女なので当然後半の方がお気に入りで、とにかく「幸せ」な小説だった。
ジャケットとは相対して、勢いのある内容でも、大きな展開がある内容でもないのだけれど
読むにつれ、心がぽかぽかとなり、ほっこり幸せな気分になった。
著者は男性なのに女性の繊細な気持ちをここまで表現できるなんて、凄い。
初めての恋によって、今までの「調和」が崩れることへの戸惑う気持ち、
好きな人に対する想いや感情もとても「女性らしい」。
彼のことを考えるとき、私は愛おしくてたまらない気分になる。兎の先で突いたほどの隙もなく好きだと思う。でも、なぜ好きなんだろう、とも思う。
可愛さと格好良さの境界線上を進む素敵男子を、私はちょっと自慢に思っている。単にハマっているだけかもしれないけど、浮かれ気分なシナモンロールみたいに自慢に思っている。
タフでおおらかで頼もしい男子、という概念は私を安心させ安定させてくれた。そういうものを愛し、また愛されていると実感することは、調和よりも一段高いれてるの心強さがあった。
その心強さは、私にとって画期的なものだった。
転載したいほどの文章が山ほどある中で、私の心に突き刺さったのはこの一行。
”やりたいことや遠い夢をひねり出すより、使命に生きればいい”
少し前まで「何かせねば、何かせねば」とむやみに検定取ったり、勉強したり趣味を見つけてみたりと、ある種「不安定」でもあり、それを「調和」にして自分を安心させていた。だけど、今はやるべきことがある。
自分の使命だったら、いつだって気付くことができる。自分のすべきことなら、実感をもって理解することが出来る。
今は仮定でいいと思う。
私のこの手に素晴らしい力が宿っていると仮定しよう。
そうしたら、もっともっと先まで歩いていける。
数々の詩的なモノローグが素敵過ぎて泣けてきた。
ここ数日恋人君の病状が悪く、電話にも出てくれない始末で正直いつこの世から消えてもおかしくない状況だ。だけれど私は不思議なぐらい元気だ。心も身体も。
たまに、ふとした瞬間に悲観して涙が流れることもあるけど、次の瞬間は元気だ。こんな気持ちで居られるのは、多分この本を読んだからじゃないかな、と思う。
こういう幸せが沢山詰まっている本をもっと読みたい気分。