ブルースノウ・ワルツ

ブルースノウ・ワルツ

あなたは、五年後には今言ったことを忘れるの。この日に、ここで、私に向かっていった台詞は覚えているかもしれない。けれど、それに込めたものは忘れるわ。  
だって、私も忘れたもの。女だからってだけで、楽団に入れてもらえなくて悔しかったけど、もういいの。
『悔しかった』ってことしか覚えてないもの。 本当にあの頃の気持ちに戻ることなんかないわ。 それが、大人になるっていうこと」

「大人って何なの?」との問いに母親が返した言葉。

小学校、中学、高校と、子供は子供なりに悩みを抱えてて、そのときには死ぬほど悩んだり、どうしようで頭がいっぱいだったり、いろんなことに絶望したり、未来を不安に思ったり。
でも結局そのときの「辛さ」とか「痛み」は覚えていてもそのときの気持ちに戻ることはないのだ。
今となっては「そんなこともあったなぁ」と思うだけ。そっか、「大人」になっちゃったんだな。

それなら、今悩んでることも、40、50になったら「あぁ、そんなこともあったなぁ」って笑えたりするのかなぁ。

なんてことを図書館の駐車場から見える夕焼けを見ながら思った。